旅行会社を開業してみたがうまくいかない方へ旅行業立て直し方法

2004年に全くの異業種から知識もノウハウもなく旅行会社を始めた経験から
どうすればうまくやっていけるのか、今までの知識、ノウハウをお教えします。

 

まずは私の立上げの物語から

旅行会社をするまでと旅行会社をするきっかけ

私は旅行業をはじめる前は中古車屋をしていました。
義理の兄と一緒に小さなところから13年で有限会社、株式会社となり、専務取締役として働いていました。
何も大きな不満もなく過ごしていましたが、それが何かしっくりこずに
一から自分でまた何かやりたい!
という思いから旅行業をはじめました。

旅行が好きな母親があるとき旅行から帰ってきて
もう旅行はええわ
というのを聞いて「?」と思いよく聞いてみると
「老人会で旅行に行ったけど、
休憩場所で20分休憩と言われてもバスから降りてお手洗いに行くだけでもう時間、
景勝地で1時間取ってもらっても、
トイレに行って自動販売機でお茶を買ったらもうバスに戻らないとみんなに迷惑をかける。
宿に着いて温泉でゆっくりしてから宴会ですといわれても、
部屋で一息ついてゆっくりしたら温泉入ってたらまた遅くなると思い温泉に行けなかった。」
とのことでした。
こんな母親の声を聴き、「これや!
お年寄りに対して少人数の小旅行、わがまま旅行で小さな車ならコンビニでも休憩できるし、
ドアツードアでご自宅までお迎えにも行ける。
小さな旅行会社をしたらみんなに喜んでもらえる!
と思いました。

私が始めたきっかけはこれだけです。

正直、あまり儲かる気はしませんでしたが、
やっていって「ありがとう!」という言葉を集めてたらいつか何かが起こるだろうという
漠然とした期待感がありました。

といっても、
旅行業の経験はまったくなく
国家資格があることすら知りませんでした。
ある日、同窓会があり、その中で「こんなことをしたいと思っている」
と話をしていると、友人の一人が
「それなら資格が必要やで、俺持ってるけど・・・」
ということでその友人がたまたま失業中というっこともあって雇うことになりました。

この友人もよく聞くと資格はあるものの派遣の添乗員経験が2・3度あるだけで
旅行業界の経験はほとんどなく実際の営業や仕入れ、運営についてはまったくのはじめてという状態でした。
2人で本屋へ行って旅行会社になる為の本を読んで勉強しました。
といっても資格取得の本ばかりで、旅行業界の本は1冊だけでいた。
開業に向けた本は旅行業ではなく、汎用的な店舗開店の本などでした。

今思えば「こんな状況でよく開業しようと思ったな?
と思いますが、この時は怖いもの知らずで
やればなんとかなる、そのうち道が見えてくる、と思っていました。

旅行業登録

登録には旅行業協会へ行き色々とお話を伺い、
営業保証金の代わりに5分の1だけ預けたらいい弁済業務保証金分担金にするために協会に入ることを決め、
またその際に協会の方から
旅行業のことを知らないのならせめて青年部へ入ったら?毎月例会で勉強会をしてるよ
と教えていただくと同時に、協会へ入会するには紹介者が必要だったので旅行業者も紹介いただいて菓子箱をもってハンコをもらいに行きました。
そこでも色々と教えていただくと同時に「お前、何にも知らずに大丈夫か?」
といった感じでした。
そこで、
旅行業組合にも入った方がいいんじゃないか?研修なんかもしてるよ。業界の知り合いも増えるし
ということを教えていただき、組合にも入会することになりました。

旅行業登録自体は協会で資料をもらい府庁舎の商工労働観光部 観光事業推進課へ連絡を入れアポイントを取って
分からないところは電話で聞いたり、書類を提出する際に直接聞いてその場で書いて提出するだけでした。
審査期間は約1か月半だったと覚えています。
見てもらった通り行政書士さんにはお世話になることがなかったです。

開業してみて

ここからが本題ですが、店舗を開店してオープン初日は友人知人からのお花をたくさんいただき、
まるでお花屋さんのような状態になりました。
うれしい限りですが、その実、この時点でも旅行申込書すらなく、どこから何を仕入れるのか?
何もわかっていませんでした。

お客さんが来ると嬉しいどころか、何を言われるかソワソワしてしまっていました。
問い合わせがあるたびに、知り合いになった旅行会社へ菓子箱を持って行きどうしたらよいのか聞いていました。
これらの旅行会社からすればライバルですが、あまりにも私が何も知らない為色々と教えてもらうことができました。
旅行業界は皆さん良い人ばかりですね。

会社の看板

当初から「お年寄りを旅行に連れて行って喜んでもらう」ことが念頭にあったので
看板や名刺には”シニア旅行企画 萬転”と記載していました。
いかにもお年寄りにやさしい旅行を提案します!
という感じだと思っていたのですが、
これがお年寄りからも
もちろんその他家族連れやグループ団体にも響かないことになりました。
その頃、テレビに出て人気だった綾小路きみまろがあるテレビ番組でカキのようなことを言っているのを聞きました。
「最初は全然受けませんでした。
おじいちゃん、おばあちゃんへとか
シニアの皆様!
なんて言っていたのですが、誰も笑ってくれません。
言い方を変えて
中高年の皆様!っていったら笑ってもらえるようになった。
お年寄りに”お年寄り”といってはダメなんです。」
これを聞いて”これや!”と思いました。

”シニア旅行企画”、良いと思ったことが
シニアからは相手にされず、当然シニア以外からも相手にされず、
結局お客様は来ずという状態だったのです。

すぐに看板を変えました。
「満足満点旅行企画 萬転」
いまでは「旅行企画 萬転」
こうしただけで色々な方が旅行の相談に来てもらえるようになりました。
ちょっとしたことですが、これに気づくのに半年以上かかりました。

何でもありの旅行業

看板を変えたことで、シニアだけがお客様という考えがなくなり
「旅行のことなら何でもします」というスタンスにかわりました。
半年以上収入なく、従業員も抱え、事務所の固定費もあり、湯水のようにお金が出ていくのを目の当たりにし、
できる仕事はなんでも取っていこうと思うようになりました。

受託販売

何ヵ月経ってもほとんどお客様は来ず、どうすればよいのか悩んだ末に思ったのが
「弊社には店前にパンフレットがない。他社は大手のパンフレットがズラッと並んでいるので旅行会社らしい」
ということでした。
早速また知り合いの旅行会社に「どうしたら大手のパンフレットを並べられるか?」を聞きました。
大手3社を教えてもらいそれぞれ電話し、結果、近畿日本ツーリストと受託販売契約を結びパンフレットを並べることができました。
ただ、頑張って販売した時期もありましたが受託販売をいくら頑張っても利益はなかなか上がりません。

チラシのポスティング

チラシを作成してポスティングして回った時もありました。
これはすぐには効果は表れませんでしたが、じんわりと効いてくる感じがします。
チラシは毎回5千部~8千部印刷して自分たちで配り歩きました。
チラシの作成、ネタ作りも経費節減で自分たちでしました。
ワードやphotoshopで版さえ作れば印刷自体はインターネットを調べれば安くで印刷してもらえます。
仕事がないので半ばこれが仕事のようなものになっていました。

出張手配やJRの手配

そこで比較的注文が多かったのが地域柄なのか出張手配やJRのみの手配でした。
仕事がない状態からお客様から注文がある状態というのはありがたいもので
暇な時間も少しづつ減り、バタバタとしだします。
あまり儲からないのはわかっていましたが、
「これも仕事!」
「いつかは社員旅行や町内会旅行などの団体旅行も頼んでくれるだろう」
とせっせと手配業務をしていました。

しかし、国内出張の手配など本当に利益が薄く、
JRの手配などは手配料金100円程度で請け負って、
発券を取りに行くのに駐車場代が500円などやればやるほど赤字でした。
お金が回っているだけです。

しかも、1年経っても2年経ってもこれらのお客様から団体旅行や家族旅行などの利益が発生する旅行の申し込みはほとんどありませんでした。

飛び込み営業

少し旅行業のことがわかってきてからは
新規の飛び込み営業も頑張って回った時もありました。半年ほど。
1日50件~100件回ってヘトヘトになってる時もありましたが、
私の場合はほとんど効果がなく、心折れて飛び込み営業はやめました。

第一次転換期

異業種交流会

知り合いからの勧めである異業種交流会に入会させていただくことになりました。
ここでは主に会社社長や2世さんが参加されていました。
名刺交換をさせていただき、お付き合いさせていただく中で少しづつお仕事をいただくことができました。
そのうち、他の異業種交流会にも参加するようになり、色々な異業種の会に入ってみました。
自分に合うもの、合わないものは入ってから考え継続したり失礼したり、こうして人脈ができてきました。

「80対20の法則」

忙しくなり、何となく日々充実しているような感じになってきましたが、
利益が上がらず、自分の給与がでません。
いくら仕事をしても儲からないときに
「人生を変える80対20の法則」リチャード・コッチ著の本に出会いました。
誤解を恐れず簡単にいってしまうと
売上の80%は20%の顧客がもらたしてくれ、
顧客の80%は売上の20%しか貢献してくれていない
というものでした。

そこで弊社では売り上げではなく利益ベースで年間の表を作成し、
並べ替えをしたりして自社の80対20を見つけ出しました。

そして利益の80%を占める20%の顧客を特に大切にするようにし、
利益の20%をもたらしてくれていた80%のお客様には
大変失礼ながら少し距離を置くことにしました。

これは一旦100ある利益が80に減るわけですから大変な判断ですが、
やってみると不思議と利益が上っていきました。

仕組み的には、
100のお客様に皆さん同じように接していては良いお客様にあまり喜んで頂けない(満足いただけない)。
そこで、多くの利益をもたらしてくれる20%のお客様にだけ注力することで、このお客様方に喜んで頂き、満足頂き次回も更なる良い旅行をして頂ける、ということです。

言葉でこうして書いてみると当たり前で、簡単なようですが、実務の中で四苦八苦しながらこれを毎年見直し、実行していくのは結構なことでした。

実際にはJRの手配や出張手配の業務をやめました。
当然お客様からは「なぜやってくれないの?」となりますが、
正直にいいました。

当然時間に余裕ができました。
今までだったら不安でしたが、本を信じ、余裕ができた時間にの頃の20%のお客様の為にお伺いをしたり、一工夫をしたりいろいろとやってみました。
すると、こちらも仕事が以前より楽しく取り組め、お客様もさらに喜んでいただけ、
紹介なども増えていくようになりました。

第二次転換期

ホームページからの集客

創業当初からホームページは作っていました。
しかし、簡単な店舗の紹介程度のもので、最初は無料ブログみたいなところに設置していたように覚えています。
ある時期、諸事情によりあまり営業に出かけられず、京都からはできることもできない事態となりました。
当然、添乗に行けません。代わりの人を点てると人件費がかかり利益も下がります。
営業にも出ないとなると仕事も減ります。

どうしたらよいものかと思っていた時に唯一できたことがホームページの更新でした。
たままた受けたある先輩の講演でその先輩がホームページからの集客をしていることを知りました。
業種は違えど、ホームページから集客できるのならこの状況を打開できるかもしれないと藁をもつかむ思いでホームページの勉強やSEO対策(googleやyahooで検索上位にあげる方法)の本を買い勉強しました。

試行錯誤の上、3か月後に「ホームページを見たんですが・・・」
と1件の社員旅行の問い合わせがありました。
しかも、今まで営業ではこちらから
「旅行があればお願いします」とお願いしていたものが、
ホームページからのお客様はお客様から「お願いできますか?」となります。
当然、話はスムーズに進み申し込みに至ります。

これだ!と思った私はホームページを日々改良し、
ついにはyahooでもgoogleでも検索すれば1ページ目(上位10位以内)に入るようになりました。
更にこの成功体験をもとに違うホームページも作っていき
今では10本以上のホームページを持つまでになりました。

その結果、ホームページからの問い合わせが毎日数件来るようになり、
ほとんど営業に出なくても仕事が回るようになりました。

ホームページの良いところはこれだけではなく、
全国各地、また世界各地からのお客様にも見ていただけるということです。
つまり、京都のお客様が京都からの旅行を目的に問い合わせがあるだけでなく、
京都に来られる予定のお客様も弊社のホームページを見てお問合せ下さいます。
いわゆる着地型旅行というのがホームページを作ったおかげでいとも簡単にできるようになりました。

うまくいかない時の立て直し方法

自分の話が長々となりましたが、
ここまで読んでいただいただけで
うまくいってない時にどうすればよいのか
もう何となくわかって頂いたかと思います。

地域や会社により色々と特性がありますので、
一概に弊社がしてきたことが全ての地域や会社に適用できるわけではありません。

まずは色々とやってみることが大切だと思います。
1つのことしかやらないのではなく、なんでもやってみる。
やってみてダメなものはやり方を変えてみる。
それでもダメなら違うことに切り替えてみる。

営業方法

営業方法だけでも

  • 飛び込み営業
  • ポスティング
  • 紹介制度を利用
  • 異業種交流会
  • ホームページ作成
  • FacebookなどのSNSの利用
  • DMの発送

など色々と考えられます。

ひとつづつやるというより複合的に色々とやってみて、
どれが効果があるのか検証することが大切です。
弊社では問合せがあるたびに、どこから何の問い合わせかをチェックしています。
例えば、「メールから大型バスの問い合わせ」、「電話で社員旅行の問い合わせ」などです。
これらを月ごとに集計し、今何が求められているのか、
お客様は何を通じて連絡されることが多いのかなど検証することができます。

ポスティングやDMなら「お問合せで〇〇をプレゼント」としておくことで、
ちょっとしたプレゼントの品をそれぞれ変えておくことでどちらを見て連絡楽器たのかを分かるようにしておきます。

現状の見直し

「80対20の法則」のように一度自社の売り上げ、利益などをお客様ごと、旅行ごとに調べてみると何が良くて何がいけないのかがはっきりとしてきます。
「何となくはわかっている」ではダメです。
しっかりとデータを見つめることで自分、会社を見つめなおしてみてください。

エクセルで表を打ち込み、データをソートするだけでできます。
大変なようでなれればどれほどでもありません。

旅行の種類の見直し

手配旅行

単純手配ばかりで儲からないようなら手を引くことを考えましょう。
手配手数料を2千円や3千円にアップし、1件1件利益の出る形に変える必要があります。
団体の航空券やJRは(株)全旅やその他取引のある仕入先から相見積もりを取ることで最安値で仕入れることができ、利益が出ます。
宿だけの手配も大手パッケージに頼りがちですが、(株)全旅のトリップ全旅や直接宿に問い合わせるなど仕入れを工夫することで大きな利益とつながる場合があります。

受託販売

地域特性などで大手のパッケージがどんどん売れるようなら良いのですが、
そうでもない、または低価格商品しか売れない場合は積極販売は控えた方が良いと思われます。
思い切った改革を検討してみましょう。

受注型企画旅行

利益を上げてくれるのは何といっても企画旅行です。
ここに注力したいものです。
顧客を見つけるのが大変かと思いますが、
一度旅行に行っていただければ毎年、
または隔年で継続的にお取引できる場合がほとんどです。
上記の営業方法を駆使して顧客獲得に励んでください。

募集型企画旅行

2種以上の会社はこちらも検討ですね。
といいつつ、弊社は2種ですがほとんど企画催行できていません。
頑張らないとと思いつつ、どうしても広告宣伝費が初期投資としてかかる為二の足を踏んでしまいます。
できることなら、1回で完結する旅行より、シリーズものの方がお客様も固定でついてもらえるので良いようです。
例)四国四十八か所巡り、東海道五十三次宿場町巡りなど

着地型旅行

3種、地域限定の会社でもこちらなら募集ができますね。
着地型では一般的なものより、
よりマニアックなものや体験型が喜ばれる傾向にあります。
「誰に来てもらったら満足してもらえるのか」を考えながら企画立案してみてください。

まずはホームページの作り込みから始めましょう。
タイトルや文章、写真などイメージするお客様に合ったものでしょうか?
ホームページの作り方などは下記を参照にしてみてください。
https://hp-seo-kyoto.jp/

また、OTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)の活用も検討してみると良いかと思います。
今や”じゃらん”や”エクスペディア”でも「遊び・体験」なども項目を設けています。
手数料が10~20%取られますが、
申し込みに至った時だけ手数料がかかる仕組みなので、
掲載自体は無料です。
間口を広く持つ意味ではトライしてみる価値はあると思います。

詳しくは下記セミナーにご参加いただければと思います。
来られない方へは動画セミナーもあります。

また、下記本を読んでいただき、ご質問などお問合せいただくもの有効かと思います。
よろしくお願いいたします。

 

こちらもご覧ください。

「着地型観光で利益を上げる方法」講師講演(一社)京都府旅行業協会 青年部 セミナー内容

 

初めての旅行業セミナー 旅行業開業、起業ならまず旅行会社に来て見て体験!

 

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