2026年版 旅行会社起業・開業完全ガイド|旅行業の始め方・資格・費用・登録から集客まで徹底解説

「旅行が好きなので、自分で旅行会社を起業してみたい」
「旅行業を始めるには、どんな資格が必要なのだろう?」
「旅行会社を立ち上げるには、どれくらいのお金が必要なのか?」
このような疑問を持って、このページをご覧になっている方も多いのではないでしょうか。

旅行会社は、大きな店舗や大量の商品在庫がなくても始められるビジネスです。

現在では、インターネットを活用することで、小さな事務所や少人数でも全国のお客様を集客することができます。
扱う旅行分野を絞れば、大手旅行会社とは違った特徴を持つ旅行会社をつくることもできます。

その一方で、旅行業は誰でも今日から自由に始められる仕事ではありません。

旅行業法に基づく登録、旅行業務取扱管理者の選任、一定の財産的基礎、営業保証金または弁済業務保証金分担金など、開業するためにクリアしなければならない条件があります。

さらに私自身、2004年に異業種から旅行会社を立ち上げて20年以上経営してきましたが、今振り返って強く感じるのは、
「旅行業登録を取ること」と「旅行会社として利益を出し続けること」は全く別の問題
だということです。

旅行会社の開業を考えると、どうしても「資格は何が必要か」「登録費用はいくらか」というところに目が向きます。
しかし、本当に考えなければならないのは、
「登録した後、誰に、どんな旅行を販売して、どうやって利益を出すのか」
ということです。

このページでは、旅行会社を起業・開業したい方に向けて、旅行業の種類、資格、費用、登録手続き、開業準備、そして開業後の集客まで、2026年時点の情報をもとに詳しく解説します。

1.そもそも旅行会社は個人でも起業できる?

結論からいうと、旅行会社は個人でも法人でも始めることができます。
必ず株式会社を設立しなければ旅行業ができない、というわけではありません。
個人事業主として旅行業登録を行うことも可能です。
ただし、個人・法人のどちらであっても、旅行業を営むためには旅行業法で定められた要件を満たし、取り扱う業務に応じた旅行業登録を受ける必要があります。

例えば、

  • 国内の団体旅行を企画したい
  • お客様の依頼を受けてホテルや貸切バスを手配したい
  • 自社で募集型の旅行商品をつくって販売したい
  • 海外旅行を取り扱いたい

など、どのような旅行を販売するかによって必要となる旅行業登録の種類が異なります。

したがって旅行会社を起業するときは、最初に会社をつくることよりも、
「自分はどんな旅行会社をつくりたいのか」
を決めることが重要です。

2.旅行業を始めるには「旅行業登録」が必要

旅行業法では、報酬を得て一定の旅行業務を行う場合、旅行業の登録が必要とされています。

代表的なものとして、

  • 旅行を企画して参加者を募集する
  • お客様から依頼を受けて宿泊施設を手配する
  • 貸切バスや鉄道などの交通手段を手配する
  • 宿泊と交通を組み合わせた旅行を販売する

といった業務があります。

「旅行に関係する仕事をする=すべて旅行業登録が必要」というわけではありませんが、報酬を得て旅行サービスの手配や旅行商品の販売などを行う場合には、旅行業法との関係を確認する必要があります。

無登録で旅行商品を販売することはできません。

旅行ビジネスを始める際には、「これは旅行業に該当するのか?」を自己判断せず、必要に応じて主たる営業所を置く都道府県などへ確認することをおすすめします。

3.旅行会社には4つの主な登録区分がある

旅行会社を立ち上げる際に、まず理解しておきたいのが旅行業登録の種類です。

主な旅行業者は、

  1. 第1種旅行業
  2. 第2種旅行業
  3. 第3種旅行業
  4. 地域限定旅行業

に分かれます。

さらに「旅行業者代理業」や「旅行サービス手配業」といった制度もあります。

旅行会社を開業したい方が最初に迷うのが、
「自分は第何種を取ればいいのか?」
という点です。

第1種旅行業

第1種旅行業は、旅行業の中で最も広い範囲を取り扱うことができます。
国内旅行はもちろん、海外を目的地とした募集型企画旅行なども含め、幅広い旅行商品を扱う旅行会社向けです。
その分、必要となる財産的基礎や保証金も大きくなります。
2026年時点で、第1種旅行業に必要となる基準資産額は3,000万円以上です。
登録先は観光庁長官となります。
これから小規模な旅行会社を起業する方が、最初から第1種旅行業を選択するケースは極めて稀です。

第2種旅行業

国内を中心に幅広い旅行業務を行いたい場合に検討されることが多いのが第2種旅行業です。
国内の募集型企画旅行を取り扱うことができるため、自社で旅行商品を企画して参加者を募集したい事業者に向いています。
基準資産額は700万円以上です。
主たる営業所を管轄する都道府県知事への登録となります。
国内旅行を中心に本格的な旅行会社を立ち上げたい場合は、第2種が一つの選択肢になります。

第3種旅行業

小規模な旅行会社の起業でよく検討されるのが、第3種旅行業です。
第2種と比較すると募集型企画旅行の実施範囲には制限がありますが、受注型企画旅行や手配旅行など、さまざまな旅行業務を取り扱うことができます。
基準資産額は300万円以上です。
「企業や団体から依頼を受けて旅行を企画する」
「社員旅行や団体旅行を手配する」
といったビジネスを中心に考えている場合は、第3種でも十分なケースがあります。
私自身も、小規模な旅行会社を起業したい方には、
「何でもできる旅行会社を目指すのではなく、実際に取り扱いたい旅行商品から必要な登録区分を考えましょう」
とお伝えしています。
必要以上に大きな登録区分を取得すると、それだけ開業時の資金負担も大きくなるからです。

地域限定旅行業

地域限定旅行業は、特定地域の観光資源を活用した旅行商品などを取り扱うために設けられている制度です。
営業所の所在する市町村や隣接する市町村など、取り扱える区域が限定される代わりに、財産的要件が比較的小さく設定されています。
基準資産額は100万円以上です。

例えば、

  • 地域の体験プログラム
  • 地域内の日帰りツアー
  • 観光協会やDMOによる旅行商品
  • 地域の食・文化・伝統産業を組み合わせたツアー

など、地域密着型の旅行ビジネスを考えている場合には検討する価値があります。

第1種から地域限定旅行業までの基準資産額は、2026年時点で第1種3,000万円、第2種700万円、第3種300万円、地域限定100万円とされています。

4.旅行会社の起業に必要な資格「旅行業務取扱管理者」

旅行会社を始めたい方から、
「旅行会社を起業するには資格が必要ですか?」
という質問をよく受けます。

ここで重要になるのが旅行業務取扱管理者です。

旅行業者は原則として、営業所ごとに1名以上の旅行業務取扱管理者を選任する必要があります。
旅行業務取扱管理者には主に、

  • 総合旅行業務取扱管理者
  • 国内旅行業務取扱管理者
  • 地域限定旅行業務取扱管理者

があります。
海外旅行を取り扱う営業所では、総合旅行業務取扱管理者が必要です。
国内旅行だけを取り扱う営業所であれば、総合または国内旅行業務取扱管理者を選任できます。
地域限定の範囲で旅行を取り扱う営業所については、地域限定旅行業務取扱管理者を選任できる場合もあります。

注意していただきたいのは、
旅行会社の社長自身が必ず資格を持っていなければならないわけではない
という点です。

資格を持った人を旅行業務取扱管理者として選任する方法もあります。
ただし、小さな旅行会社では社長自身が営業、企画、手配、接客まで行うことも多いため、私は可能であれば自分自身が資格を取得することをおすすめしています。
法律上必要だからというだけではありません。
旅行条件、約款、運送・宿泊、取消料など、旅行会社を経営するうえで必要となる基本的な知識を学ぶことができるからです。
また、選任されている旅行業務取扱管理者については、5年ごとの定期研修も義務付けられています。

旅行業務取扱管理者試験について

旅行会社をするためには、何はともあれ「旅行業務取扱管理者」という資格が必要になります。

旅行業務取扱管理者には国内と総合の2種類あり、国内は国内旅行のみが取り扱え、総合は海外旅行も取り扱えるものになります。
それぞれ、国家資格となり、年1回の試験があり、合格する必要があります。

試験日・申込日

国内旅行業務取扱管理者試験:通年9月
申込期間は6月~7月

総合旅行業務取扱管理者試験:通年10月
申込期間は7月~8月

早目早目に確認・申込みが必要になります。

試験科目

国内旅行業務取扱管理者試験

・旅行業法及びこれに基づく命令
・旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
・国内旅行実務
・運送機関及び宿泊施設の利用料金その他の旅行業務に関連する料金
・旅行業務の取扱いに関する実務処理

総合旅行業務取扱管理者試験

国内旅行業務取扱管理者試験の内容にプラス
海外旅行実務
(本邦内の運送機関及び宿泊施設の利用料金、その他の本邦内の旅行を取り扱う旅行業務に関連する料金)(その他本邦内の旅行を取り扱う旅行業務に関する実務)(本邦外の運送機関の利用料金、その他の本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に関連する料金)(旅券の申請手続、通関手続、検疫手続、為替管理その他の本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に必要な法令)(本邦及び主要国における出入国に必要な手続に関する実務)(主要国の観光)/(本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に必要な語学)/(その他本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に関する実務)
が入ります。

その他

合否発表が1~2か月後になります。

テキストや問題集はAmazonや書店にて様々なものが販売されています。

国内旅行業務取扱管理者試験

https://www.anta.or.jp/exam/shiken/setsumei.html

総合旅行業務取扱管理者試験

JATA(日本旅行業協会)

5.旅行会社開業にはいくら必要?基準資産と保証金

旅行会社の起業を考えている方が最も気になるのが開業資金でしょう。
旅行業登録では、登録区分ごとに一定の財産的基礎が必要です。
2026年9月時点の主な基準資産額は次のとおりです。

登録区分 基準資産額
第1種旅行業 3,000万円以上
第2種旅行業 700万円以上
第3種旅行業 300万円以上
地域限定旅行業 100万円以上

ここで注意したいのは、単純に銀行口座にこの金額が入っていればよい、という意味ではないことです。
基準資産額は資産や負債などをもとに計算されます。
したがって、法人設立時の資本金をいくらにするかについても、旅行業登録を前提として検討する必要があります。

6.営業保証金と弁済業務保証金分担金

旅行業登録では、基準資産とは別に、旅行者保護のための保証制度があります。
旅行業協会の保証社員にならない場合は、営業保証金を供託します。
一方、日本旅行業協会(JATA)または全国旅行業協会(ANTA)などの旅行業協会に加入し、保証社員となる場合には、弁済業務保証金分担金を納付することで営業保証金の供託義務が免除されます。
新規登録で取引額が最低区分の場合の代表的な金額は、

登録区分 営業保証金 協会加入時の弁済業務保証金分担金
第1種 7,000万円 1,400万円
第2種 1,100万円 220万円
第3種 300万円 60万円
地域限定 15万円 3万円

となっています。

弁済業務保証金分担金は営業保証金の5分の1に相当するため、旅行業協会への加入を選択する旅行会社も多くあります。
ただし、旅行業協会へ加入する場合には、弁済業務保証金分担金だけではなく、入会金や年会費なども考える必要があります。
単純に「保証金が安くなるから協会に入ればよい」と考えるのではなく、所属する旅行業協会が提供する研修、情報、相談体制、業界ネットワークなども含めて検討するとよいでしょう。

7.旅行会社は法人と個人事業主、どちらで始めるべき?

事業を興す=会社設立、と考える方も多くおられますが、個人事業主でやっていくという考え方もあります。
事実、弊社も20年間旅行会社を経営しておりますが、当初よりずっと個人事業主です。
個人事業主だからといって、デメリットを感じたことがありません。

会社設立には法人登記が必要になり、その為には30~50万円必要になります。
また、毎年法人税が赤字でもなんでも7万円は必要になります。
個人事業主なら、税務署等へ開業届を出するだけで済みますし、赤字の年は税金は支払う必要はなくなります。

様々なサイトで法人登記しないと社会的信用が・・・とありますが、そのほとんどが司法書士さんが書かれたもので、法人登記してもらわないと儲からないからです。

一般的に年間の純利益が900万円を超えるようなら税法上、法人登記した方が有利といわれています。

個人事業主なら万一、会社が倒産したときなどに、会社の債権者に対して負債総額の全額を支払う責任を負うことになります。
株式会社なら、会社が倒産したときなどは、会社の債権者に対して出資額を限度として、責任を負うだけで済みます。
但し、オーナー社長は金融機関から融資を受ける際には、社長の個人保証を求められるケースが多くあり、会社がお金を返せなくなった場合に、社長個人として借金を肩代わりすることになります。

様々なメリット・デメリットを考慮したうえで決めて頂ければと思います。

重要なのは、

「株式会社か個人事業主か」を先に決めるのではなく、「どんな旅行会社にしたいのか」を決めてから事業形態を選ぶことです。

 

8.旅行会社開業までの10ステップ

ここからは、実際に旅行会社を立ち上げる場合の流れを見ていきましょう。

STEP1 どんな旅行会社をつくるか決める

最初にやるべきことは旅行業登録の申請書を書くことではありません。

事業内容を決めることです。

例えば、

  • 社員旅行専門
  • 団体旅行専門
  • 海外旅行専門
  • 高齢者旅行専門
  • スポーツ遠征専門
  • 学校・教育旅行専門
  • インバウンド旅行
  • 富裕層旅行
  • 地域体験旅行
  • 趣味特化型旅行

など、旅行会社にはさまざまな可能性があります。

「旅行なら何でもできます」という旅行会社は、一見便利に見えます。
しかし、これから小さな旅行会社が大手旅行会社と競争するのであれば、私はあまりおすすめしません。
それより、
「この旅行ならこの会社」
と思ってもらえる分野をつくる方が集客しやすくなります。

STEP2 必要な旅行業登録を決める

事業内容が決まれば、
「第2種が必要なのか」
「第3種で十分なのか」
「地域限定旅行業でよいのか」
などを検討します。
この順番が大切です。
先に登録区分を決めてしまうと、必要以上に大きな資金を用意することになる場合があります。

STEP3 旅行業務取扱管理者を確保する

自分自身が資格を取得するのか、資格保有者を採用・選任するのかを決めます。
旅行会社の開業を数年後に考えているのであれば、早めに旅行業務取扱管理者試験に挑戦することをおすすめします。

STEP4 事業計画を作る

ここは非常に重要です。
最低でも、

  • 誰を顧客にするのか
  • どんな旅行を販売するのか
  • 1件あたりの売上
  • 1件あたりの粗利益
  • 年間何件販売するのか
  • どこから問い合わせを獲得するのか
  • 固定費はいくらか
  • いつ黒字化するのか

くらいは考えておきましょう。
旅行会社は売上金額が大きく見える業界です。
100万円の団体旅行を受注すれば「100万円売れた」と考えがちです。
しかし、その中にはホテル代、バス代、食事代、観光施設代など、多額の仕入れが含まれます。
大切なのは売上ではなく、
「その旅行で最終的にいくら粗利益が残るのか」
です。

STEP5 法人設立・事業開始の準備

法人として旅行会社を始める場合は、会社設立を行います。
この際、旅行業登録に必要な基準資産も考えながら資本金等を設計する必要があります。
定款の目的にも旅行業に関係する事業を記載します。

 

STEP6 営業所を準備する

旅行業登録では営業所を明確にする必要があります。
自宅を営業所とすることを検討する方もいますが、物件の利用条件や営業所としての独立性などについて確認が必要になる場合があります。
レンタルオフィス等を検討している場合も、契約する前に登録上問題がないか確認した方が安全です。
「事務所を契約してから登録できないことが分かった」という順番にならないようにしましょう。

STEP7 旅行業協会への加入を検討する

JATAまたはANTAなどへの加入を検討します。
協会の保証社員になる場合は、旅行業登録申請より前に入会手続きが必要になる場合があります。
そのため、開業直前ではなく早めに相談しておくことをおすすめします。

旅行業協会への入会はすべきか

旅行業界には大きく2つの団体があります。それぞれ日本旅行業協会と全国旅行業協会になります。
どちらもそれぞれ、旅行業務取扱管理者試験などを受け持っています。
入会することで国に預けるべき営業保証金の供与に代えて、弁済業務保証金分担金として営業保証金の1/5の納付で済むなどの便益もあります。

JATA(日本旅行業協会)

大手旅行会社や海外旅行を中心に扱う旅行会社が多いです。

入会金・年会費共に全国旅行業協会より高くなります。

ANTA(全国旅行業協会)

中小の旅行会社が多いです。

いずれも法定業務を扱う協会ですが、入会することで旅行会社同士の横のつながりや、関係機関・受入施設などとの交流が広がります。

STEP8 旅行業登録を申請する

第1種旅行業は観光庁、第2種・第3種・地域限定旅行業などについては、原則として主たる営業所を管轄する都道府県が窓口になります。
必要書類や手数料、申請方法には地域による違いがある場合があります。
例えば京都府では、2026年時点で第2種・第3種・地域限定旅行業の新規登録手数料は23,560円となっていますが、手数料等は自治体によって確認する必要があります。
必ず営業所を設置する都道府県の最新情報を確認してください。

STEP9 開業に必要な書類・業務体制を整える

旅行業登録を取得すれば、その瞬間から自由に旅行を販売してよい、というわけではありません。
実際の営業では、

  • 旅行業約款
  • 取引条件説明
  • 契約書面
  • 見積書
  • 申込書
  • 請求書
  • 旅行日程表
  • 取消料管理
  • 個人情報管理
  • 顧客管理
  • 仕入先管理

など、さまざまな実務が必要になります。
特に旅行会社未経験で起業する方は、ここで苦労することが多いです。

STEP10 集客を始める

そして最後が集客です。
実はここが旅行会社起業の中で最も重要だと私は考えています。
登録も取った。
事務所も借りた。
名刺もできた。
ホームページもできた。
それでも、お客様から問い合わせがなければ旅行会社の経営は成り立ちません。
旅行会社をつくることではなく、「旅行を買ってくれるお客様をつくること」が本当の開業準備なのです。

 

9.旅行会社を起業する前に考えてほしい「誰に売るのか」

旅行会社を始める方に、
「どんな旅行を販売したいですか?」
と聞くと、
「国内も海外も扱いたいです」
「個人旅行も団体旅行もやりたいです」
という答えがよく返ってきます。

気持ちはよく分かります。
しかし、開業当初から何でも取り扱うのはおすすめしません。
小さな旅行会社は、人もお金も時間も限られています。
広告予算も大手旅行会社にはかないません。
そこで必要になるのが専門化です。
例えば、
「京都発の社員旅行なら詳しい」
「韓国の団体旅行なら詳しい」
「建築家が案内する建築旅行」
「工場見学専門」
「歴史好きのための旅行」
「アニメ聖地巡礼専門」
などです。

現在はインターネット検索があります。
商圏を店舗の半径数キロに限定する必要はありません。
ある分野に特化すれば、全国からお客様を集めることもできます。

小さな旅行会社にとって、
「市場を狭くすること」は弱点ではなく、むしろ強みになります。

 

10.旅行会社はどうやって利益を出すのか

旅行会社の仕事を知らない方から、
「旅行会社はホテルや航空券を販売して、どうやって儲けているのですか?」
と聞かれることがあります。

旅行会社の収益には、

  • 旅行商品の販売利益
  • 旅行の企画料
  • 手配料金
  • 取扱料金
  • 施設等からの手数料
  • 添乗関連収入

などさまざまな形があります。
ただし、昔のように「旅行商品を販売していれば自然に手数料が入る」という感覚だけで旅行会社を経営することは難しくなっています。

お客様自身が、

  • ホテル予約サイト
  • 航空会社サイト
  • Google検索
  • 旅行予約サイト

などを利用して、簡単に旅行を予約できる時代だからです。
そのためこれからの小規模旅行会社には、
「自分で予約するより、この旅行会社に相談した方が良い」
と思ってもらえる理由が必要です。

詳しくはセミナーにてお伝えしております。

11.これからの旅行会社に必要なのは「手配力」より「提案力」

ホテルを予約する。
新幹線を取る。
観光地を調べる。
こうした作業だけなら、お客様自身でもかなりできるようになりました。
生成AIの普及によって旅行プランをつくることさえ簡単になっています。
だからこそ今後の旅行会社に必要なのは、
情報そのものではなく、その会社だからできる提案です。
例えば社員旅行であれば、
「社員同士のコミュニケーションを良くしたい」
「若い社員とベテラン社員の両方が楽しめる旅行にしたい」
「幹事の負担をできるだけ減らしたい」
という企業側の目的があります。

単に、
「京都1泊2日、ホテルとバスで○万円です」
と提案するのではありません。
「この会社なら、こういう社員旅行にした方が良い」
という提案ができれば、価格だけの比較から抜け出すことができます。

 

12.異業種から旅行会社を起業して一番困ること

私自身、2004年に旅行会社を立ち上げたときは旅行業界出身ではありませんでした。
顧客ゼロ。
旅行業界の人脈もほとんどありません。
異業種からのスタートでした。

その経験から、これから旅行会社を始める方に伝えたいことがあります。

旅行業務取扱管理者の試験に合格しても、
旅行会社の実務がすべてできるようになるわけではありません。

例えば、
「貸切バスを頼むとき何を伝えればよいのか」
「宿泊施設にはどんな条件を確認するのか」
「団体旅行の見積書をどうつくるのか」
「旅行代金はいつまでに回収するのか」
「取消が出た場合どうするのか」
「旅程変更が発生したらどう対応するのか」
「お客様からクレームが来た場合どうするのか」
こうしたことは、実際に仕事を始めて初めて分かるものがたくさんあります。

私自身も開業当初は分からないことばかりでした。

だから私は、旅行会社の起業では、
資格の勉強+旅行業登録+実務の勉強
の3つが必要だと考えています。

ただ、実務のことを教えてくれるところはありません。
そのため、旅行会社起業塾セミナーを開催するに至りました。

13.旅行会社を始めて最初のお客様をどう獲得するか

開業したばかりの旅行会社には知名度がありません。
店舗を開けばお客様が来てくれる時代でもありません。
そこで重要になるのがWEB集客です。

私自身も旅行会社を経営する中で、ホームページを活用した集客に力を入れてきました。

ポイントは、
「旅行会社」という大きな言葉だけで集客しないことです。

例えば、
「社員旅行」
「町内会旅行」
「貸切バス」
「韓国団体旅行」
「台湾団体旅行」

など、特定の旅行目的や地域に特化したホームページを作れば、その旅行を探している人に直接アプローチできます。

大手旅行会社のブランド力に正面から勝負するのではありません。
大手が細かく対応しにくい市場を見つけて、その分野について詳しい旅行会社になる。
これは小さな旅行会社が生き残るための有効な戦略です。

14.旅行会社を立ち上げる前にホームページを考える

旅行業登録が完了してから、
「そろそろホームページを作ろう」
と考える方がいますが、それでは遅いんです。

旅行会社の開業準備とWEB集客の準備は、できるだけ並行して行うべきです。
検索エンジンにホームページを評価してもらうには時間がかかります。

開業した翌日から、
「旅行会社+地域名」
などで上位表示されるわけではありません。
したがって、

  • ターゲットを決める
  • サービス内容を決める
  • ホームページを設計する
  • 専門記事を書く
  • Googleにサイトを認識してもらう

という準備は早めに進めた方がよいでしょう。

ホームページの作り方などもセミナーで詳しくお伝えしております。

15.旅行会社起業でよくある失敗

失敗1 「旅行が好きだから」で始める

旅行が好きなことは大切です。
しかし旅行へ行くことと、旅行を販売することは違います。
旅行会社はサービス業であり、営業会社であり、手配会社でもあります。

失敗2 何でも売ろうとする

国内、海外、個人、団体、出張、学生旅行、ハネムーン……。
すべてを販売しようとすると、結局何が得意な会社なのか分からなくなります。

失敗3 価格で大手やネット予約サイトと競争する

小さな旅行会社が「安さ」だけで大手OTAなどと競争するのは非常に難しいでしょう。
価格以外の価値をつくらなければなりません。

失敗4 登録することをゴールにしてしまう

旅行業登録はスタートラインです。
登録番号を取得しても、お客様は増えません。

失敗5 集客方法を決めずに開業する

「知り合いから仕事をもらえるだろう」
だけで起業すると、数か月後に案件がなくなるケースがあります。
開業前から継続的な集客方法を考えておきましょう。

16.旅行会社起業に向いている人

私がこれまで旅行会社を経営し、多くの開業希望者と接してきた経験からいうと、旅行会社経営に向いているのは、単に旅行好きな人だけではありません。

特に重要なのは、

  • 人と話すことが好き
  • お客様の希望を聞き出せる
  • 細かな確認作業が苦にならない
  • トラブル時に落ち着いて対応できる
  • 新しい情報を学び続けられる
  • 営業や集客を嫌がらない
  • お客様に喜んでもらうことが好き

という人です。

旅行会社の仕事は華やかな部分だけではありません。
変更、取消、確認、精算など細かな事務作業も大量にあります。
旅行当日に電話がかかってくることもあります。

だからこそ、
「旅行が好き」+「商売が好き」+「人の世話をすることが苦にならない」
という人は旅行会社経営に向いていると思います。

17.2026年から旅行会社を起業しても遅くない?

「ネット予約が増えている今から旅行会社を始めても大丈夫でしょうか?」
という質問もよくあります。

私は、
昔と同じ旅行会社をつくるのであれば難しい。しかし、新しい旅行会社にはまだチャンスがある
と考えています。

大量の商品を並べて販売するだけなら、大手旅行会社やOTAにはなかなか勝てません。

しかし、

  • 特定分野に詳しい
  • 団体旅行の幹事を徹底サポートする
  • 地域に深く入り込む
  • 特殊な体験を提供する
  • 企業の目的から旅行を設計する
  • インターネットで全国からニッチな顧客を集める

といった旅行会社には可能性があります。

特に「面倒な旅行」ほど旅行会社の価値があります。
10名、20名、50名と人数が増えれば、ホテルや交通機関を自分で予約するのは大変になります。
複雑な海外旅行、社員旅行、視察旅行、研修旅行、テーマ旅行なども同じです。

また、地元のものだからこそできる着地型ツアーもあります。

18.旅行会社を起業する前のチェックリスト

最後に、旅行会社開業を考えている方は次の項目を確認してみてください。

□ どんな旅行を販売するか決まっている
□ ターゲット顧客が明確になっている
□ 必要な旅行業登録区分を理解している
□ 旅行業務取扱管理者を確保できる
□ 必要な基準資産を理解している
□ 営業保証金・弁済業務保証金を理解している
□ 法人か個人事業主か検討した
□ 営業所を確保できる
□ 旅行業協会への加入を検討した
□ 開業資金とは別に運転資金を用意している
□ 旅行商品の仕入先を確保している
□ 見積・契約・手配などの実務を理解している
□ 1件の旅行でいくら利益が残るか計算できる
□ 開業後のお客様の集め方が決まっている
□ ホームページやWEB集客の準備をしている

この中に答えられない項目があったとしても、旅行会社を諦める必要はありません。

むしろ、開業前に課題が見つかったことをプラスに考えてください。

19.旅行会社の開業は「登録」より「開業後」が重要

旅行会社の起業方法を調べると、多くの情報が、
「旅行業登録には○○万円必要です」
「旅行業務取扱管理者が必要です」
というところで終わっています。

もちろん登録制度を理解することは重要です。
しかし、私は20年以上旅行会社を経営してきて、
旅行会社は登録してからが本当のスタート
だと強く感じています。

資格を取ること。
会社をつくること。
旅行業登録を取ること。
これらは準備です。

本当に難しいのは、
お客様を集め、旅行を受注し、利益を出し、その状態を何年も続けることです。

だから旅行会社を起業するときには、
「旅行会社をどうやってつくるか」
と同時に、
「この旅行会社をどうやって成功させるのか」
まで考えてください。

旅行会社起業塾セミナーにはただのノウハウだけでなく、成功の種がふんだんにあります。

20.私自身も顧客ゼロ・旅行業界未経験から始めました

私は2004年に旅行会社を設立しました。
それまで旅行会社に勤務していたわけではありません。
異業種から旅行業界へ入り、顧客も旅行会社経営のノウハウもほとんどない状態からのスタートでした。

当然、最初からすべてうまくいったわけではありません。

分からないことを一つずつ調べ、旅行の企画、手配、営業、添乗、ホームページ作成などを実務の中で覚えてきました。
その中で特に大きかったのが、インターネットを利用した集客です。

大手旅行会社と同じことをするのではなく、特定の旅行分野ごとにホームページをつくり、その旅行を必要としているお客様から直接問い合わせをいただく仕組みをつくってきました。

現在では、旅行会社を起業した経験と経営してきた経験の両方を活かして、これから旅行会社を始めたい方への支援も行っています。
だからこそ、これから旅行会社を起業される方にお伝えしたいのは、
「登録が取れるか」だけで判断しないでほしい
ということです。
旅行会社を立ち上げる目的。
販売する旅行。
ターゲット。
利益の出し方。
集客方法。
ここまで考えてから開業すれば、旅行会社起業の成功確率は大きく変わります。

まとめ|旅行会社起業を成功させるための5つのポイント

旅行会社・旅行業をこれから始めたい方は、まず次の5点を押さえてください。

1.何を販売する旅行会社なのかを最初に決める

登録区分から考えるのではなく、事業内容から考えます。

2.必要な旅行業登録・資格・資金を確認する

第1種・第2種・第3種・地域限定では、できる業務や財産的要件が異なります。

3.登録前から旅行実務を勉強する

資格試験の知識だけでは、実際の旅行会社業務には十分ではありません。

4.大手旅行会社と価格競争しない

特定の地域、目的、顧客などに専門化し、「この旅行ならこの会社」という強みをつくります。

5.開業前から集客方法をつくる

旅行業登録を取っただけではお客様は来ません。ホームページ、SEO、紹介営業など、継続して問い合わせを獲得できる仕組みを準備します。
旅行会社は、簡単な商売ではありません。
しかし、自分が企画した旅行でお客様に喜んでもらえることは、この仕事ならではの大きな魅力です。
そして現在は、小さな会社であってもWEBや生成AIなどを活用することで、大手とは違った旅行会社をつくれる時代でもあります。
「いつか旅行会社をやってみたい」
と思っているだけでは、何も始まりません。
まずは、自分がどんなお客様に、どんな旅行を提供したいのかを書き出すところから始めてみてください。
旅行会社の起業は、そこから始まります。

※2026年9月時点の制度について

旅行業法、登録要件、基準資産額、保証金等の制度については2026年9月時点の情報をもとに記載しています。旅行業登録の申請方法、必要書類、手数料等は登録行政庁や地域、申請内容によって異なる場合があります。

実際に旅行会社を開業する際には、観光庁、主たる営業所を管轄する都道府県、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)などの最新情報を確認してください。

 

この記事を書いた人

西河 豊治
2004年、異業種から旅行会社「旅行企画 萬転」を創業。旅行業経験・顧客ともにゼロの状態から旅行会社を立ち上げ、20年以上経営。旅行業の企画・手配・添乗・営業・WEB集客を実務で経験。中小企業診断士として旅行会社・観光事業者の経営支援にも携わる。

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