「地域限定旅行業者」の制度を利用し、変わりゆく業界へ飛び込んで来られる方々へ
旅行会社が明かす登録申請方法や、スムーズな開業に必要な準備、成功事例を紹介していきます。
平成23年4 月 1日から、 「地域限定旅行業者」の制度がスタート!
平成30年から具体的に法整備もされ、試験も地域限定のものが始まりました。
これにより旅行業の敷居が下がり、
旅行者を受け入れる地域(着地)の事業者による着地型観光旅行がますますやりやすくなりました。
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目 次
旅行業に必要な機材備品などの初期費用
どんな形であれ、
起業するには勇気がいりますよね。
少しでも不安を解消でき、
前向きな行動を起こしやすくなるために事前に考えておくべきことを整理してみましょう。
ここでは地域限定旅行業について書いていきます。
準備・運転資金
何はともあれまずは資金。
どれだけ用意しないといけないのかですが、
これは旅行業協会に入るか入らないかにより多少異なります。
用語説明
旅行業協会:旅行業法第3章に規定された協会です。
日本旅行業協会と全国旅行業協会の2団体があります。
比較的小規模の旅行会社は全国旅行業協会に入ることが多いです。
法的な業務としては下記に上げる5つになりますが、
具体的には
・供託金を5分の1の金額に下げてくれる。
・各地方の支部では研修が行われたり、
青年部があったりと旅行会社同士が活発に交流する場を提供している。
ことが上げられます。
- 旅行者および旅行に関するサービスを提供する者(宿泊機関など)からの、旅行業者等が取り扱った業務に対する苦情の解決
- 旅行業務の取り扱いに従事する者に対する研修
- 旅行業務に関し、社員となっている旅行業者
またはその旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者と
取引を行った旅行者に対し、その取引で生じた債権に関し弁済する業務 - 旅行業務の適正な運営を確保するための、旅行業者等に対する指導
- 旅行業務に関する取引の公正の確保又は旅行業および旅行業者代理業の健全な発達を図るための調査、研究および広報
基準資産額:
基準資産額 = 資産総額 - 繰延資産(創業費等)- 営業権 - 負債の総額-営業保証金額又は弁済業務保証金分担金で、旅行業をするならこれだけの資産はあるべきと定められたものです。
営業保証金(供託金):
旅行業法により旅行業者は供託金を供託しなければならないことになっていて、その額は種別、売上により違います。
弁済業務保証金分担金:
供託金のおよそ5分の1の金額で、旅行業協会に入ることで供託金の代わりに預ける金額です。
つまり、協会に入らない場合は供託金を、入る場合は弁済業務保証金分担金を預けることになります。
旅行業協会に加入しない場合、
基準資産額100万円、営業保証金15万円で最低資本金115万円が必要となります。
しかし、これらは使って無くなるわけではありません。
残高証明として必要であったり、国に預けるお金として必要なだけです。
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旅行業協会に加入する場合、
基準資産額100万円、
入会金50万円、
年会費3万円、
弁済業務保証金分担金3万円、
で最低資本金56万円が必要となります。
*入会金、年会費は地域により多少違うようです。
こちらも実際に使って無くなるお金は56万円のみです。
金銭的には協会に入るメリットがそれほど感じられないですね。
但し、年間の取引額が400万円を超えると営業保証金がいきなり100万円になります。
この場合の弁済業務保証金分担金は20万円になりますので、この時点で考えてもいいかと思います。
基準資産額は登録の際に銀行等に残高証明書を発行してもらう時に準備しておくお金です。
登録が終わればそこから営業資金や経費の支払いなどに使っても大丈夫です。
5年後の更新の際にはまた残高証明書の発行が必要になりますので
その際はまた100万円必要になります。
俗な言い方をすれば見せ金ですね。
取引額が5千万円を超えるまではこれで大丈夫です。
ものづくりをするわけではないので、自宅で開業される場合は設備投資はほとんど必要ないです。
人は雇うべきか
私の場合、意気勇んで最初から人を雇って開業しましたが、異業種からの参入でノウハウもなく、顧客もゼロからだった為、仕事が無く従業員は半年で辞めてしまいました。
最初からどっと人が集まり申込みがいっぱいということはなかなか難しいと思われるので、まずは一人でこつこつ始めるのが堅実かと思います。
ただ、思いを同じくする人が集まった場合、思わぬ相乗効果を発揮します。
営業にたけた人、
経理は安心して任せられる人、
旅行者の求めてるのもをいち早く嗅ぎ付ける能力のある人など、
旅行会社の経験が無くても創意工夫でお客様を呼び込むができます。
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事務所として必要な備品
何は無くとも、
パソコン、
FAX複合機、
A3カラープリンター、
資料を整理する棚
くらいは欲しいところです。
特にFAX複合機は下記の点で重宝します。
・予約確認などFAXを多用する中、読取記録が早い。
・お客様への案内書、日程表、チラシなどパソコンとつなぎ印刷が早くできる。
・家庭用FAXより壊れにくい。
・最近のものは10万円程度でコンパクトで場所を取らない。
旅行手配で怖いのは手配漏れと、手配しているのに「言った言わない」で仕入先やお客様ともめること。
メールかFAXで必ず記録を残しましょう。
その中でも時代はインターネットですが、まだまだFAXでのやり取りが多いのが旅行業界です。
営業として必要な備品
名刺、腕時計、手帳などはどこの営業マンも同じでしょうが、パソコンを持ち歩くか、地図を持ち歩くとお客様との打ち合わせがスムーズにいきます。
添乗員・ガイドとして必要な備品
腕時計、添乗員バッチ、旗などは旅行会社ならではです。
日程表やクーポン類を入れておく透明のケースも集合の際にタイトルを入れたり役立ちます。
携帯電話は今や当たり前ですよね。
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着地型旅行業の問題点
もちろん、いいことずくめのお仕事がそうそうあるわけではありません。
着地型旅行でも下記に上げるような点には注意が必要です。
ただ、これらは最初に知っておき、注意しながらものごとを進めて行けば解決できます。
まずは知ることから始めましょう。
自己満足だけになりお客様が付いてこない
これはボランティアガイドさんに良くあることですが、自分の知っていることを全てお客様に伝えようと張り切るあまりお客様が求めていない内容にまで踏み込みお客様からすれば「なんか違う!」「話がくどい」となってしまいます。
たくさん伝えたい、知ってもらおう!
というのは大切ですが、
お客様の様子を伺いながら、
一方的な話ではなく
会話のキャッチボールを楽しむ感じで進めていく方が喜んで頂けます。
単純にわかりやすい例では、
アジアのお客様に
「このお寺は〇〇年、〇〇という偉い方の開基で、・・・」
と説明しても
「だから?」という感じになります。
それより
「〇年前の建物で、この前の修復では〇千万円かけいるんです。
ここから写真撮るとキレイに映えますよ!」
と話を持って行く方が喜んで頂けます。
欧米のお客様ではこれが逆の話になります。
(もちろん個々人により違います。一般論です。)
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集客方法
皆さんホームページさえ作ればすぐにお客様が見てくれて問合せがあると思われている方が意外に多いです。
実際はそれほど甘くはありません。
もちろんホームページは必需品です。
しかし、しっかりとどんなキーワードでどんなお客様が来るのかリサーチしてから作り込まないと折角見栄えの良いホームページができても誰も見てくれなかったりします。
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ホームページの作り込みによる集客が一番ですが、忘れてならないのが地元の方への広報です。
もちろん地方の方を皆さんの地へ呼びたいわけですが、意外に地元の方からの紹介があるもので、
「うちの近所の誰々さんがこんなのやってはるよ!」
なんて宣伝していただけたりします。
私はこのお蔭でテレビ出演を果たしました。
それと、紙媒体も作成しておいた方が何かと広まり安です。
ホームページを見たお客様から「パンフレットありますか?」と問合せされることもあります。
単価が安い
着地型旅行といえば単純な”街歩き”と思われがちです。
又はボランティアガイドさんの案内など。
これらはおおよそ一人当たり千円~3千円で1回に10人程度のお客様を集めて開催されます。
週末ごとに3,000円×10人=30,000円を確実に集客できれば
これはこれで週末起業としては良いと思いますが、現地下見や資料の作成、現地の方への謝礼など仕入が発生する場合などもありますので、少しでも単価アップを図りたいところです。
それには他社との競合を避け、独自のアイデアで商品を開発することが一番!
こんなのできたら面白いだろうな~を実現しましょう!
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着地型観光関連の改正旅行業の内容とポイント
ここでは知っておいて損はない公的な内容を少々。基本が大事です。
着地型観光とは
旅行業者の観点からいいますと、
今までの観光旅行といえば、
自社地域のお客様を他の観光地へお連れするために企画、手配するのが通常でした。
これを発地型観光といいます。
これに対し着地型観光は、
旅行会社が熟知した自社周辺地域の旅行商品を造成し、お客様に来てもらう観光のことです。
政府が進める観光立国への道のりで重要になってくるのがこの着地型観光です。
ありていな観光地のみならず、
地域の方々が知る
「地元密着の他地方ではない面白いもの、人(観光資源)」
を掘り起こしていくことで観光活性化を狙ったものとなっています。
言い換えれば、
旅行者を受け入れる地域(着地)の事業者による、その地域の観光資源を活用した旅行商品の開発を促進することです。
観光立国の推進については、
平成15年1月に小泉純一郎総理(当時)が「観光立国懇談会」を主宰し、その4月からビジット・ジャパン事業開始、
平成18年 12月には観光立国推進基本法が成立していきます。
簡単に言えば
「どんどん外国人観光客を増やして経済活性化を図ろう!
国内でも休日を増やして余暇を観光にあててもらい
国内の人の行き来を活性化することで地方も潤う仕組みを作ろう!」
といったところでしょうか。
その中で、
いわゆる着地型商品の促進策については第三種旅行業に原則として、
その営業所の所在する市町村(東京 23区に営業所がある場合は区)と、それに隣接する市町村の範囲内の日程の募集型企画旅行の企画実施が認められるようになったことに始まります。
地域限定旅行業とは
着地型観光旅行の為に新たに創設された旅行業区分で、営業所が所在する市町村(東京都の特別区を含む。以下同じ。)とそれに隣接する市町村の範囲とする限られた区域に限って国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行を実施することができます。
営業保証金の供託額と基準資産額を100万円以上(第3種は300万円以上)に引き下がりました。
また社団法人全国旅行業協会に加入することで弁済業務保証金分担金は20万円以上とかなりハードルが下げられました。
平成29年3月に閣議決定された今後の規制緩和内容
ア. 旅行業務取扱管理者の資格要件の緩和
旅行業務取扱管理者試験を現行の「総合」「国内」に追加してもう1種類を新設し、新たな試験は、着地型旅行を取り扱う上で必要な知識を問う内容の試験とする。
イ. 地域限定旅行業者の旅行業務取扱管理者の選任要件の緩和
地域限定旅行業者については、営業所の業務量等が相当と認められる場合には、旅行業務取扱管理者による複数営業所兼務が認める。
ウ. 第三種旅行業者、地域限定旅行業者が主催できる募集型企画旅行の催行範囲について
催行範囲については、地域の観光実態に応じて、当該制度をより柔軟に運用していく。
着地型観光で利益を上げたい方はこちらも見て下さい。↓↓↓↓↓↓
「着地型観光で利益を上げる方法」講師講演(一社)京都府旅行業協会 青年部 セミナー内容
地域限定旅行業に登録申請に必要なもの期間
新しく事業を始めるにはどうしても不安が伴いますよね。
また行政書士に聞くといくら取られるかわからなかったり、少しでも不安軽減になるよう自分で登録申請する方法を記していきます。
国内旅行業務取扱管理者
何はなくとも資格がいります。
毎年9月初旬の日曜日に試験があります。
受験手続は7月初めまでなのでお早目に!
合格発表は10月下旬になります。
詳しくは全国旅行業協会の国内旅行業務取扱管理者試験 受験案内をご覧ください。
http://www.anta.or.jp/exam/shiken/annai.html
但し、代表者が資格保持者である必要はなく、1営業所に1人以上(従業員が10名以下の場合)いればOKです。
全国旅行業協会の支部へ行く(書類の受取、提出)
直接各都道府県に申請でますが、
申請書等の提出前には、
事前ヒアリングが必要ですので、
観光庁観光産業課にお問い合わせください。
申請書【第1号様式(1)】
申請書【第1号様式(2)】
申請書【第1号様式(3)】
日本旅行業協会の旅行業の登録申請手続きも参考にしてください。
http://www.jata-net.or.jp/membership/industry/notification/index.html
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