
2018年の業法改正以降、異業種からの参入による旅行会社の登録が増えています。
業界が盛り上がるためには喜ばしいことですが、残念ながら1~3年で廃業や休眠状態になる旅行会社が後を絶ちません。
ここでは、どうしてそうなってしまうのか、どうすれば回避できるのかについて考察していきます。
目 次
なぜ旅行会社は「開業できても失敗する人」が多いのか
旅行会社の起業相談を受けていると、「開業までは順調だったのに、その後まったく売上が立たない」というケースが非常に多く見られます。
その最大の理由は、旅行会社を“資格ビジネス”や“手続きビジネス”だと誤解している点にあります。
旅行業は、開業できた時点がスタートラインであり、本質は「旅行商品を売り続ける仕組みを作る事業」です。
にもかかわらず、開業準備の段階では登録や手続きの情報ばかり集め、事業としての設計がほとんど行われないままスタートしてしまう人が多いのが実情です。
特に異業種から参入した方ほど、前職の成功体験を旅行業にそのまま当てはめてしまい、業界構造の違いに気付かないまま苦戦するケースが目立ちます。
失敗行動①「とりあえず開業」からスタートしてしまう

最も多い失敗パターンが、「まずは開業してから考えよう」という姿勢です。
開業すること自体が目的になってしまい、その後どうやって売上を作るのかが後回しになります。
本来、開業前に最低限整理しておくべきなのは、
・誰に売るのか
・何を売るのか
・どうやって集客するのか
この3点です。
これが決まらないまま開業してしまうと、開業後に迷走が始まります。
商品もターゲットも定まらず、「とりあえず何か作ろう」「とりあえず営業しよう」という状態になり、結果として時間だけが消えていきます。
失敗行動②「誰に売るか」を決めずに商品を作っている

旅行会社を起業した人の多くが、最初に考えるのは「どんな旅行商品を作ろうか」という発想です。
しかし本来の順番は逆です。
重要なのは「誰のための旅行なのか」です。
個人向けなのか、団体なのか、企業研修なのか、インバウンドなのか。
顧客層によって、営業方法も価格設計も、必要な体制も大きく異なります。
最初から幅広く狙おうとすると、どの層にも刺さらない中途半端な商品になりやすく、結果として選ばれない旅行会社になってしまいます。
起業初期こそ、あえて対象を絞ることが重要です。
失敗行動③「自分の強み」を観光業界目線で言語化していない
異業種出身者ほど、本来は大きな強みを持っています。
しかし、その強みが「旅行会社としての価値」に変換されていないケースが非常に多く見られます。
例えば、営業経験、ITスキル、マーケティング、地域との人脈などは、旅行業においても大きな武器になります。
ただし、それを「うちは〇〇ができます」という旅行者目線・企業目線の価値に言語化できなければ、強みとして伝わりません。
「自分が何をしてきたか」ではなく、「顧客にどんな成果を提供できるのか」という視点で整理することが不可欠です。
失敗行動④「仕入れができれば売れる」と勘違いしている
宿泊施設やバス会社、体験コンテンツを押さえられるようになると、「これで商品は作れる」と考えてしまいがちです。
しかし、それは単なる素材がそろっただけにすぎません。
本当に必要なのは、誰のどんな課題を解決する旅行商品なのかという設計です。
例えば社員旅行であれば、幹事の負担軽減、社内コミュニケーション、目的設定などが重要な要素になります。
仕入れ中心の発想では、価格以外の差別化が難しくなり、結果として安売り競争に巻き込まれていきます。
失敗行動⑤ ホームページを作れば集客できると思っている
「とりあえずホームページを作れば問い合わせが来る」という考えも非常に危険です。
実際には、問い合わせが来ないホームページには共通点があります。
それは、誰向けのサイトなのかが分からないことです。
トップページを見ても、対象となる顧客像が曖昧で、結局「何が強い会社なのか」が伝わりません。
起業初期に重要なのは、SEO対策よりも前に、集客から問い合わせまでの導線設計です。
誰が、どんな悩みで検索し、どんな情報を見て、問い合わせに至るのか。
この流れを設計せずにサイトを作っても、成果にはつながりません。
失敗行動⑥「価格」で勝負しようとしてしまう
実績がないうちは、「安くすれば選ばれるのではないか」と考えがちです。
しかし、価格競争に入った瞬間、小さな旅行会社は極めて不利な立場になります。
価格以外の理由で選ばれる仕組みを持たない限り、利益は残らず、疲弊するだけです。
小規模な旅行会社こそ、
・専門分野に特化する
・対応力や提案力を価値にする
・地域性や独自ネットワークを活かす
といった戦い方が必要になります。
失敗行動⑦ 起業後の行動計画を持たずに動き続けている
起業後にありがちなのが、とにかく営業、とにかく投稿、とにかく動くという状態です。
しかし、成果が出る人ほど、最初にやるべきことの優先順位を明確にしています。
特に重要なのは、
・商品設計
・ターゲット整理
・集客導線の構築
この3つを先に固めることです。
ここが曖昧なまま動いても、行動量は増えても成果は出にくくなります。
旅行会社起業で失敗しないために、まずやるべき3つの整理
まず取り組むべきは、次の3つです。
第一に、狙う市場と顧客を明確にすること。
第二に、自社が選ばれる理由を言語化すること。
第三に、商品と集客をセットで設計すること。
この3つがそろって初めて、再現性のある事業になります。
まとめ|旅行会社起業で一番大切なのは「ノウハウ」より「設計」
旅行会社起業で本当に重要なのは、テクニックや小手先の集客ノウハウではありません。
どんな顧客に、どんな価値を、どんな仕組みで届けるのかという事業設計です。
遠回りせずに形にしていくためには、できるだけ早い段階で経営視点を取り入れることが、結果として最大の近道になります。







