「不便益」という言葉をご存知でしょうか?
もともと京都大学におられた(現在は京都先端科学大学に在籍)の教授が言われ出した言葉です。
「人は少しくらい不便な方が、実は好きなんじゃないですか?」
ということなのですが、これ、旅行業に大変当てはまる言葉なんです。
一見不便に見える体験や状況が、かえって価値を高め、記憶に残る特別な体験となるという考え方で、着地型ツアーにおいては、この「不便益」を巧みに活用することで、より魅力的な旅の体験を提供することができます。
着地型ツアーにおける不便益活用の具体例
【交通手段の工夫】
公共交通機関の利用: 観光バスではなく、地元住民が利用するようなローカル線や路線バスを利用することで、現地の生活に触れることができます。
徒歩や自転車: レンタサイクルなどで街中を散策することで、観光地だけでは味わえない風景や出会いを発見できます。
人力車: 歴史ある街並みを人力車で巡ることで、五感で街を感じることができます。
【宿泊施設の選択】
民泊: 現地住民の家に滞在することで、地元の文化や生活習慣を体験できます。
カプセルホテル: コンパクトな空間で、他の旅行者との交流を楽しむことができます。
キャンプ: 自然の中で寝泊まりすることで、都会では味わえない静寂と開放感を体験できます。
【食事体験】
地元の食材を使った料理: スーパーマーケットで食材を購入し、自分で料理をすることで、より現地の味を堪能できます。
屋台や路地裏の食堂: 観光客向けのレストランではなく、地元の人々が利用するようなお店で食事をすることで、本場の味を味わえます。
郷土料理教室: 現地の料理教室に参加することで、料理を通して文化に触れることができます。
【アクティビティ】
ガイドなしの散策: ガイドブックを片手に、自分だけのペースで街を散策することで、新たな発見があります。
地元の人との交流: 現地の人々と交流する機会を設けることで、生の声を聞くことができます。
季節のイベント参加: 祭りや祭事など、地元の人々が大切にしているイベントに参加することで、地域の一員になったような感覚を味わえます。
【不便な状況を逆手に取る】
電波状況が悪い場所: 電気を消して星空を眺める、自然の音に耳を澄ますなど、デジタルデトックスの機会になります。
道に迷う: 地元の人々に道を尋ねることで、思わぬ出会いがあるかもしれません。
言葉が通じない: ジェスチャーや表情でコミュニケーションを取ることで、新たな発見があるかもしれません。
【不便益を活用する際の注意点】
安全面: 不便益を追求するあまり、安全を軽視することは避けましょう。
参加者のレベル: 参加者の体力や興味関心に合わせたプランを立てることが重要です。
事前の説明: 不便益を伴う体験であることを事前に説明し、参加者の理解を得ることが大切です。
まとめ
不便益を意識することで、着地型ツアーは単なる観光地巡りから、より深く地域と関わり、自分自身と向き合うことができる特別な体験へと変わります。
参加者が自ら考え、行動し、そして発見することで、忘れられない旅の思い出を作ることができます。
今回は、セミナーの内容の一部でもある「不便益」についてお話しました。
いかがでしたでしょうか?
こう考えると、様々な可能性が見えてきませんか?