起業後3年以内に廃業しないための旅行業戦略

旅行業界は華やかに見える反面、実際に起業して3年以内に廃業してしまうケースが少なくありません。
その理由としては、顧客獲得の難しさ、利益構造の誤解、マーケティングの不在、法令知識の不足、商品力の弱さなどが挙げられます。

私自身、ゼロから旅行会社を立ち上げ、成功と失敗を繰り返しながら継続的なビジネスへと育ててきました。
このコラムでは、その経験を元に、3年以内に廃業しないための旅行業戦略を7
つの視点から詳しく解説します。

1. 利益構造を正しく理解する

旅行業にはさまざまな形態があります。

  • 手配旅行:宿泊や交通手段を手配するだけ。
  • 受託販売:大手のパッケージ旅行を代理販売。
  • 募集型企画旅行:自社で日程や料金を決めて販売。
  • 受注型企画旅行:団体旅行や企業旅行などニーズに応じて企画。
  • 着地型旅行:地域の特性を活かした旅行。

特に着地型旅行や募集型企画旅行では、自社で価格を設定でき、独自性を出すことで高い収益性を確保できます。
受託販売や手配旅行だけに頼ると、固定費を賄うことすら難しいため、複数の収益源を持つことが不可欠です。

それぞれの詳しい利益率等は旅行会社起業塾セミナーでお伝えしております。

売上が安定するまでは「受注型企画旅行」で回すのも手です

最初から募集型を展開するのはハードルが高く、リスクもあります。

地元の団体・企業を顧客にするBtoB戦略

受注型企画旅行は、例えば町内会の旅行、企業の慰安旅行、学校の修学旅行など、団体のニーズに応じて企画する旅行形態です。
少人数で運営していても、営業さえできれば確実に売上が立ちます。

具体的には、地元の商工会やNPO法人に定期的に提案営業を行うことで、安定した収入源を確保できます。

顧客との関係性を深め、リピートにつなげる

団体旅行の担当者との信頼関係ができると、定期的に案件が入るようになります。
アフターフォローや定期的な情報提供(ニュースレターなど)を怠らないことが重要です。

2. 集客力=生存力と心得よ

どんなに魅力的な商品があっても、集客できなければ売上にはつながりません。
集客にはオンライン・オフライン両面での戦略が必要です。

  • チラシや新聞折込:地域密着型の顧客に有効。反応率は低いがターゲットを絞れば効果あり。
  • SNSやブログ:継続的な情報発信で認知度を高める。
  • ホームページ:検索ワードを意識した設計が重要。
  • 異業種交流会や観光協会との連携:口コミと紹介が生まれやすい。

特にホームページは、「京都 社員旅行」「沖縄 団体旅行」など、検索されやすいキーワードを盛り込み、コンテンツとしての質を高めることで、自然検索からの集客が可能になります。

3. セールスではなく「マーケティング」で売る

「モノを売る」ためには、単なる営業ではなく、マーケティングの視点が不可欠です。

マーケティングの究極の目的は、「売り込み不要な状態を作る」ことです。

そのためには、

  • セグメンテーション(誰に)
  • ターゲティング(どんな人を狙うか)
  • ポジショニング(どんな立ち位置で提供するか)

を明確にし、適切な情報発信と商品設計を行う必要があります。
例えば、「高齢者向けの日帰り旅行」なら、階段や段差の少ない観光地を選び、移動距離も短く設計します。
それを具体的に伝えることで、自然とお客様の方から選んでもらえるようになります。

お客様から選ばれる為には独自性を出す必要があります。
万人に受ける商品では独自性は成り立ちません。

4. 独自商品で勝負する

旅行業界では、他社と同じような商品では価格競争に巻き込まれてしまいます。
だからこそ、地域に根ざした着地型商品や、ターゲットに特化したオリジナル商品が重要です。

  • 地元の伝統工芸体験ツアー
  • 地元食材を使った料理体験付き旅行
  • 空港送迎付き高齢者向けツアー

こうした商品は、小規模事業者だからこそ柔軟に作ることができ、大手にはできない差別化要素となります。
商品開発は「顧客の悩みをどう解決するか」から始めましょう。

5. 「信用」の積み上げ方を知る

旅行は高額商品であり、安心・安全が求められる分野です。
お客様は「信頼できる人」からしか申し込みません。

  • 顔が見える情報発信:ブログやSNSで代表の人柄を伝える。
  • レスポンスの速さ:問合せへの即対応で安心感を提供。
  • 契約書や旅行条件書を丁寧に説明:不明点を残さない対応。

これらを積み重ねることで、リピート率が上がり、紹介も生まれ、安定経営につながります。

6.法令・約款を理解し、トラブルを回避する

旅行業法や約款に対する理解が不足していると、知らぬ間に違法な運営をしている可能性があります。

  • 旅行種別を超えた募集型企画旅行の販売
  • 契約前に「取引条件説明書面」の交付をしていない
  • 法令上の広告表示のルール(誇大広告の禁止など)違反

特にネットで募集する場合は「ウェブガイドライン」も守る必要があります。
これらを知らずに営業を続けていると、行政指導や訴訟リスクもあります。

7.情報発信の継続が、あなたの未来を変える

ブログ、YouTube、Instagram、Facebookなど、今は個人でも情報発信の場が多数あります。

  • 初心者向けの旅行の準備情報
  • 現地からのライブ配信や裏話
  • 旅行プランの構成や意図を紹介

発信を続けることで、ファンができ、口コミが生まれ、集客が安定してきます。

最初は反応が少なくても、続けることで信頼となり、大きな資産になります。

おわりに:廃業しないために必要なのは「準備」と「戦略」

旅行業は、夢や楽しさを提供する魅力的な仕事です。
しかし同時に、きちんと利益が出る構造を設計し、地道に集客し、信頼を積み重ねていかなければ、すぐに行き詰まってしまいます。

弊社の「旅行会社起業塾セミナー」では、こうした起業初期のリアルな課題に対する解決法を、さらに詳しくお伝えしています。

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